その他
不動産所得がある人の申告
家賃収入がある場合は、確定申告をしなくてはいけません。
※家賃収入のみで生活している方の場合、社会保険料控除や扶養控除等を差し引いたとき収入が20万円以下の方の場合は確定申告をする必要はありません。
不動産所得を申告する場合の節税ポイントは、利益を圧縮することができる必要経費をどれだけ計上できるか、ということです。
必要経費に算入することができる費用には、借入金利子(業務開始後の分)や、減価償却費、租税公課、修繕費、火災保険料、管理委託費、事務費、広告宣伝費などがあります。
まずはこれらをもれなく計上することです。
上記にあげた必要経費のうち、最も大きい費用は減価償却費。減価償却費でまず注意したいポイントに「空室」の償却があります。
マンションを賃貸していると、空室ができてしまう場合があります。こうした場合でも、入居者が見つかればすぐに入居できるような状態にあれば、減価償却費を計上することができます。
固定資産税は、第1期から第4期の4回に分けて納付することになっています。
その年の第4期の税額の納期は翌年の2月となっているため、その年の年末現在では未払いとなっていた場合でも、その第4期分の固定資産税はその年分の必要経費にする事ができます。
「修繕費」というのは、固定資産の通常の維持管理のためなどに行った修理などに支出した費用のことで、一時に経費として計上することができます。
ところが、建物等の修理、改良でも店や建物を改造したり増築した費用などは「資本的支出」となって、かかった費用の全額を一時に経費計上することはできません。
こうした費用は、減価償却を行って初めて必要経費となります。
しかし、できるだけ一時の経費としたほうが税金上は有利となります。
修繕費と資本的支出との判定は微妙なケースがありますが、次のようなものは修繕費として取り扱っていいです。
①修理、改良等に要した費用で20万円未満のもの
②おおむね3年未満の周期で行われる修理、改良等
また、その費用が修繕費か資本的支出かわからない場合でも、支出した金額が60万円未満のときは、明らかに資産の価値を高めるものや耐久性を増すものを除き、原則として修繕費とすることができます。
「事業的規模」でマンション経営などを行っている場合、家族がもっぱらその不動産の管理や維持に携わっているなら、白色申告の場合は配偶者で最高86万円、その他の親族で1人につき最高50万円を専従者控除として費用にすることができます。
青色申告の場合はさらに有利です。所定の届出書(青色事業専従者給与に関する届出書)に記載された方法で親族に給与を支払った場合は、その給与は青色申告者の不動産所得の必要経費にすることができます。
ただし、この場合は支払いを受けた人は、青色専従者の給与所得として課税対象になります。
また、労務の対価として過大な給与は否認されることがあるので注意してください。
賃貸収入が思うようにあがらなかったとか、空室が多かった、あるいは借入金の利子や減価償却費が多額になった、といった場合は、収入金額より必要経費の方が多くなり、不動産所得は赤字になります。
この赤字は、事業所得や給与所得など、他の所得と損益通算して、赤字と黒字を相殺することができます。
なお、赤字のうち土地(土地の上に存する権利を含む)の取得に係る借入金の利子に対応する金額は損益通算の対象になりません。
銀行からの借入金でマンションを取得した人は、銀行への返済のうち必要経費にできるのは、元本部分を除いた利息部分だけです。
この元本と利息の内訳は、銀行からの返済予定表等で確認することになります。
なお、はじめての不動産所得が発生する人の賃貸開始までの支払利息については、必要経費ではなく、土地や建物の取得価額に加えることになります。
マンションの取得にともない、不動産取得税や登録免許税がかかってきますが、これらの税金は不動産所得の必要経費になります。
マンションなどの建物は、使用していうるうちに価値が下がっていきます。
この価値が下がった分を減価償却費として、毎年の必要経費にすることができます。
なお、マンションの建物価格には電気設備や給排水設備などの付属設備の費用も建物価格の中に含まれています。
もちろん、これらの費用を含んだものを建物価額として減価償却費の計算をしてもかまいませんが、これらの設備は建物よりも耐用年数が短い(15年)ため短期間で減価償却できます。
つまり、設備を建物と分けて減価償却すると、当初の必要経費を多くすることができ、建物と一緒に償却するよりも有利になります。
平成19年3月31日以前取得 (取得価格の95%に達するまで) |
平成19年4月1日以後取得 | |
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旧定額法 | 取得価格×0.9×旧定額法の償却率 | - |
定額法 | - | 取得価格×定額法の償却率 |
旧定率法 | 年初帳簿価格×旧定率法の償却率 | - |
定率法 | - | 年初帳簿価格×定率法の償却率 (注)この算式による金額か償却保証額より 小さい場合は計算が異なる |
構造 | 住宅用の 耐用年数 |
住宅用の償却率 | 事業所用の 耐用年数 |
事業所用の償却率 | ||||
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平成19年3月31日 以前取得 |
平成19年4月1日以後取得 | 平成19年3月31日 以前取得 |
平成19年4月1日以後取得 | |||||
旧定額法 | 旧定率法 | 定額法 | 旧定額法 | 旧定率法 | 旧定率法 | |||
鉄骨鉄筋コンクリート造 または鉄筋コンクリート造のもの |
47年 | 0.022 | 0.048 | 0.022 | 50年 | 0.020 | 0.045 | 0.020 |
れんが造、石造 またはブロック造のもの |
38年 | 0.027 | 0.059 | 0.027 | 41年 | 0.025 | 0.055 | 0.025 |
金属造のもの (骨格材の肉厚4mm超) |
34年 | 0.030 | 0.066 | 0.030 | 38年 | 0.027 | 0.059 | 0.027 |
金属造のもの (骨格材の肉厚3mm超4mm以下) |
27年 | 0.037 | 0.082 | 0.038 | 30年 | 0.034 | 0.074 | 0.034 |
金属造のもの (骨格材の肉厚3mm以下) |
19年 | 0.052 | 0.114 | 0.053 | 22年 | 0.046 | 0.099 | 0.046 |
木造または 合成樹脂造のもの |
22年 | 0.046 | 0.099 | 0.046 | 24年 | 0.042 | 0.092 | 0.042 |
木骨 モルタル造のもの |
20年 | 0.050 | 0.109 | 0.050 | 22年 | 0.046 | 0.099 | 0.046 |
構造・用途 | 細目 | 耐用年数 | 償却率 | ||||
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平成19年3月31日 以前取得 |
平成19年4月1日以後取得 | 平成19年4月1日~平成24年3月31日取得 | 平成24年4月1日以後取得 | ||||
旧定額法 | 旧定率法 | 定額法 | 定率法 | 定率法 | |||
電気設備 (照明設備を含む) |
蓄電池電源設備 | 6年 | 0.166 | 0.319 | 0.167 | 0.417 | 0.333 |
その他のもの | 15年 | 0.066 | 0.142 | 0.067 | 0.167 | 0.133 | |
給排水または 衛生設備およびガス設備 |
- | 15年 | 0.066 | 0.142 | 0.067 | 0.167 | 0.133 |
冷房、暖房、通風 またはボイラー設備 |
冷暖房設備 (冷凍機の出力が22kw以下のもの) |
13年 | 0.076 | 0.162 | 0.077 | 0.192 | 0.154 |
その他のもの | 15年 | 0.066 | 0.142 | 0.067 | 0.167 | 0.133 | |
昇降機設備 | エレベーター | 17年 | 0.058 | 0.127 | 0.059 | 0.147 | 0.118 |
エスカレーター | 15年 | 0.066 | 0.142 | 0.067 | 0.167 | 0.133 |
テナントが入居する際に受け取る権利金や返却を要しない保証金などをそのまま収入に計上すると、もらった年だけ所得が急に増えて多額の税金がかかってしまいます。
そこで、不動産等を3年以上、他人に使用させることにより一時に受け取るもので、不動産の使用料の年額の2倍相当額以上であるものは「臨時所得」として「平均課税」の適用を受けられることがあります。こうした収入があったときは、専門家に相談したほうが良いでしょう。
店舗、事務所、住居などとして建物を他人に貸す場合は、契約時に保証金や敷金を受け取るのが普通です。
この保証金や敷金は将来返却する預り金ですので、収入金額に含める必要はありません。
ただし、保証金や敷金のうち返却を要さないものについては、次のように取り扱われます。
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