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オフィスビル 活況から一転 空室増、在宅勤務も影響

2020-12-24

賃貸オフィスビル市場は、空前の活況から一転、大きな曲がり角を迎えています。新型コロナウイルスの感染拡大で、業況が悪化した企業によるオフィス解約が相次いでいます。在宅勤務が急拡大し、働き方改革も相まって「オフィス不要論」まで登場し、過去の不況時にはなかった様相を見せています。

仲介大手の三木商事(東京・中央)によると、都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の空室率は、2月に過去最低の1.49%まで下がりましたが、11月には4.33%に上がっています。賃料も7月にリーマン・ショック前の高値を超えましたが、8月には下げに転じました。

春以降、コスト削減のためオフィス解約が増え続けました。過去の不況期と異なるのは、働き方の見直しに伴う在宅勤務の浸透で拠点やスペースの整理縮小の動きが重なる点です。

在宅勤務に取組みやすいIT(情報技術)関連企業が集積する渋谷区では、こうした動きがいち早く進み、空室率は5%を超えました。港区でも大企業の新築ビルへの移転などで既存ビルの2次空室が顕在化しています。

オフィスのあり方を見直す動きも広がりました。富士通は2023年3月末までに国内オフィス面積を半減するほか、東芝も約3割削減を検討しています。パソナグループは24年にかけてグループ全体の管理・間接部門で働く1800人のうち約1200人を兵庫県の淡路島に移します。

働き方の変化がオフィス需要をどの程度縮小させるのか見通すのは難しいです。企業によっては在宅勤務の課題も見え始めており、社員が集まる価値の重要性を指摘する経営者は少なくありません。拠点を分散する需要もあります。

不動産業界では空室率5%が「需給が均衡し賃料が反転する目安」されています。ところが都心5区の8月の空室率は3.07%だったにもかかわらず賃料は下落しました。
在宅勤務の定着などによる構造的な需要減少の可能性が貸し手の心理に影を落としました。特に中小規模のビルの多くが賃料を下げてでもテナント確保を急いだため、市況の軟化を早めたようです。

それでも不動産会社は大規模再開発の手を緩めません。港区虎ノ門・麻布台で23年3月に高さ330メートルの超高層ビルなどを竣工する森ビルの辻慎吾社長は「事業の縮小や変更、開業の延期は考えていない」と言い切ります。27年度に東京駅北側に390メートルの超高層ビルを完成させる三菱地所の吉田淳一社長も「一定の需要はあり続ける」と強調します。

コロナ禍が長引き、現在のペースで解約が続けば、21年中には空室率が5%を超え、賃料の下落圧力も強まりそうです。仲介大手、三幸エステート(東京・中央)の今関豊和チーフアナリストは「在宅勤務を前提としたオフィスの再編が大企業で本格化する」とみています。

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