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荒川沿い、水害対策急ぐ 情報提供・避難所を確保

2020-07-21

 東京都の荒川沿いにある江戸川、足立など東部5区が水害対策を急いでいる。域内は被災リスクの高い海抜ゼロメートル地帯が多いため、情報提供の拡充や避難所の確保を進めている。ただ、一度策定した広域非難は課題もあり、準備は道半ばだ。大雨災害が各地で相次ぐなか、対策は待ったなしになっている。
 荒川や墨田川などに接する江戸川区・足立区・江東区・葛飾区・墨田区の5区は高潮や荒川の氾濫などで床上浸水などが懸念されるエリアに250万人が暮らしている。災害時の浸水の深さは最大10メートルで、1〜2週間は水が引かない可能性があるという。2019年の台風19号では荒川が氾濫危険水位に達し、足立区などは避難勧告を出した。災害対策の強化が急務になっている。
 江戸川区は荒川の氾濫を想定した洪水・高潮のハザードマップや水害時の留意点をまとめた冊子、地域の災害情報を伝える防災ラジオを区内約27万世帯すべてに配布する。マップと冊子は7月中、ラジオは12月までに配り終える予定だ。
 山孝明区長は「住居地の状況をまず知り、そのうえでどう逃げたらいいのかの心構えを持ってほしい」と話す。
 足立区は水害時の避難所を拡充している。区有施設だけでなく、私立学校や大学などと協定を結び19年10月の135カ所から現在は164カ所に増やした。分散して退避できるようにし、避難所に人を収容できなくなることを防ぐ。6月には区内の都営住宅の空き部屋を緊急の避難場所にできるよう都と協定を結んだ。
 避難所の機能強化を進めるのは江戸川区だ。5月から最大6人が乗れる救助ボートを非難所などに配布している。区内が広範囲に浸水した際に、人や物資を運ぶ。また、企業と提携してタブレット端末計400台も避難所に設置する。災害時に区の対策本部などと円滑に連絡が取れるようにする。
 各区が対策を進める一方で大きな課題になっているのが住民が域外に逃げる広域非難の方法だ。5区は18年に広域避難計画を策定。災害が予想される場合、遠方の縁故を頼るなどの自主的な非難を最も早い場合で3日前に呼びかけるといった内容を盛り込んだ。ただ、避難先や移動手段を具体的にどう確保するかはまだ結論が出ていない。
 「近県のある首長から『何万人も来られたらうちの自治体はどうなる。こられたら困る。』と言われた」と山区長は明かす。大規模水害を引き起こす天候だと5区の周辺自治体も被災している可能性が高く、「被害を受けるのはどこか見極めるのも難しい」(青木克徳・葛飾区長)。 
 近年、鉄道の計画運休が早まっていることへの対応も懸案だ。広域避難計画策定に協力した片田敏孝・東京大特教授によると、250万人が域外に避難するには3日かかる。計画では渋滞を避けるため鉄道や徒歩での移動を推奨するが、鉄道が早く運休すれば、避難は難しくなる。片田氏は「近隣の自治体や国、事業者と連携しながら計画を拡充する必要がある」と話す。自治体間の連携を求める一方、住民に対しては「水面下の土地に住んでいるという現実を直視してほしい。どう非難するかを各自が考えておく必要がある」と指摘している。

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