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都心オフィス需要 減速感ー既存ビルで賃料下落

2020-06-12

「5月空室率 3ヵ月連続で上昇」
 新型コロナウイルスに伴う景気悪化で、賃貸オフィス需要の減速感が目立ってきた。東京都心のオフィスビルの空室率が5月は3ヵ月連続で小幅上昇。既存ビルの募集賃料が下落に転じた。経営合理化による解約が増え始め、在宅勤務の拡大も見込まれるため、空室上昇は続く可能性が高い。

 オフィスビル仲介大手の三鬼商事(東京・中央)が11日発表した都心5区「千代田、中央、港、新宿、渋谷」の5月の空室率は1.64%となり、前月より0.8ポイント上がった。3ヵ月連続で上昇したのは、2012年6月以来となる。

 竣工して1年までの新築ビル(31棟)の空室率は1.85%で、前月に比べて1.46ポイント下がった。5月に完成した3棟が満室となったほか、空室の消化も進んだ。一方で既存ビル(2572棟)は0.13ポイント上がって1.63%となった。5区内の状況を詳しくみると、IT(情報技術)企業が集積し、需給の逼迫が著しかった渋谷区で空室率が2.55%まで上昇。他の4区が1%台にとどまっていることからしても、開きが大きい。新築ビルへの移転に伴う2次空室や賃貸面積縮小の動きが渋谷区内の大規模ビルでも出始めた。

 募集賃料(3.3?あたり)は前月から0.07%高い2万2836円。77ヵ月上昇が続くが、伸びはほば止まった。新築ビルは3万2235円で2.69%上がった。一方、多数を占める既存ビルは2万2587円と0.03%下がった。下落に転じたのは17年1月以来。賃料の天井感が一層強まってきている。

 都心のオフィス需給はここ数年、1990年前後のバブル期並みに逼迫し、賃料も上昇が続いてきた。ただコロナ禍で今春以来、在宅勤務などリモートワークに取り組む企業が増えた。オフィス需要の減退で空室率上昇や家賃下落はどの程度になるかが焦点となる。

 オフィスビル総合研究所(東京・中央)によると、都心5区のワンフロアが165?以上のオフィスの3月時点の空室率(即入居可能な物件のみ)は0.6%。データのある93年12月以降の最低だが、実質GDP(国内総生産)の落ち込みから「今後1年間で3.7ポイント上がる」と予測する。募集賃料は3.3?あたり2万3416円。08年のリーマン・ショック前の高値にほば戻した水準だ。

 同研究所は「空室率が4%台でとどまれば、8%を上回ったリーマン・ショック後に比べ賃料の下落圧力は限られる」と指南。過去の好況時と比べても、空室率は歴史的な低さだが、賃料は必ずしも高いわけではないという。「年内は上昇し、その後は横ばい傾向が続く」とみる。

 SMBC日興証券の調べでは、主要企業(81社)の78%がテレワークを「増やす」としているが、オフィスの面積は「変わらず」と答えた企業が53%で最も多く、「減らす」企業は7%だった。「オフィス面積を減らしたとしても好立地の高機能ビルへの需要は底堅い」としており、テナント側とオーナー側の入居交渉は激しくなりそうだ。

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