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マンション 中古が主役─首都圏取引 3年連続新築超え─

2019-09-06

首都圏のマンション取引で中古物件が主役となっている。中古の成約件数は新築の供給戸数を2018年まで3年連続で上回った。長く新築が中心だった市場に起きた変化の背景を探ると、首都圏の土地の供給事情と買い手の意識が変わってきたことが浮かび上がる。

都内に住む30代の男性は今年初めに日本橋周辺の中古マンションを手放した。買い手が現れるまでには時間がかかるだろうと思っていたが、すぐに見つかり、15年の購入時を数百万円上回る値段で売れた。「しばらく賃貸に住んで物件を探す。新築は高すぎるので次も中古だろう」と話す。
東日本レインズによると、18年の中古マンションの成約件数は3万7217戸。不動産経済研究所がまとめた新築供給戸数の3万7132戸をわずかながらも上回った。5年前には新築が中古を2万戸も上回っており、中古が主役となる状況が3年も続くのは異例だ。

逆転をもたらした原因の一つが新築価格の高騰だ。不動産経済研のデータをもとに計算すると、18年は首都圏の新築の坪単価が平均約290万円で、08年に比べ3割超も上昇した。働き手不足に東京五輪関連の建設も重くなり、作業員確保が難しくコストが増大した。
 東京23区の新築価格は平均7142万円で横ばいだが、これにはカラクリがある。買い手がつきにくくなることを不動産会社が恐れ、面積を狭くして価格を抑えた物件を供給しているのだ。
 一方、中古の坪単価は東日本レインズのデータをもとに計算すると首都圏で平均約170万円にとどまる。さらに中古は良質な物件が多く供給される時期も迎えている。
 首都圏では1994年から07年までの多くの年で、新築の供給が8万戸を超える時代が続いた。バブルが崩壊し、企業が資産リストラにより一等地の売却を進めたことで不動産会社による大量の建設を呼び込んだ。
新築は10年ほど経つと家族形態の変化などから売却を考える人が増え始める。東日本レインズによれば首都圏の中古成約物件の平均築年数は21年(18年時点)。「8万戸時代」の物件は築10〜20年超の売却が活発な時期となり、18年の中古物件の売り出し登録数を初の20万件超に押し上げた。
8万戸時代の物件が買い手に魅力的なのを示すのが駅からの近さだ。東京カンテイがまとめる新築マンションの最寄り駅からの所要時間別シェアを見ると、首都圏では徒歩3分以内の物件の比率は03年に20%を超えた。バブル期には10%前後だったが、バブル崩壊後にじりじりと上昇した。

 最近の新築も3分以内が20%前後だが、都心の駅に近い土地は「オフィスに加え、ホテルとも競合して価格が高騰している」(東京カンテイの高橋雅之主任研究員)。地価の上昇もマンション価格を押し上げている。

 買い手の意識の変化も見逃せない。国土交通省の調査で新築と中古のどちらを持ちたいか聞いたところ、「どちらでもよい」との回答は11年度の29.5%から18年度に37.9%まで上昇した。首都圏に限ると17年度に41.1%に達した。
 特に若い世代は中古への抵抗感が薄れてきており、「リノベーション向けのローンや品質認定制度の普及も購入に繋がっている」(三井住友トラスト基礎研究所の北村邦夫研究理事)という。
 住宅着工統計と5年に1回の住宅・土地統計調査から計算すると、全国の新築住宅(着工戸数ベース)を含めた住宅取引に占める中古の比率は13年時点で約15%にとどまる。欧米で7〜8割を占めるのとは大差がある。
 もっとも、首都圏に続いて近畿圏も中古の取引が新築との差を縮めてきた。首都圏の動きは、住宅が持ち主を変えながら長く使われる国に変化する先駆けかもしれない。

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