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羽田を核に沿線囲い込み

2019-04-22

 羽田空港は年間8千万人超が乗降する日本最大の空港だ。京浜急行電鉄はアクセス手段として、モノレールやリムジンバスを抑え3割超のトップシェアを確保している。だが、最短で2029年度に予定されるJR東日本による東京駅などへのアクセス新線が開業すれば、利用客を奪われかねない。京急は新たな利用客獲得に挑んでいる。

 羽田空港に到着する東京都心方面からの京急線は午前6時過ぎの段階で、スーツケースを持った旅行者や航空会社・空港の従業員らで混み合う。
 京急が空港線を延伸し、羽田空港直下に乗り入れたのは1998年のこと。公共交通機関としては最後発だったが、17年度の空港各駅での1日あたりの乗降人数は11万6552人と、JR東子会社の東京モノレールの1.6倍まで増えた。だが、JR東の新線が開通すれば、立場が逆転する可能性がある。


 空港線は鉄道事業だけでなく、京急グループ全体の成長のカギを握る重要な路線だ。原田一之社長も「羽田空港は事業の基盤となる事業エリア」と強調する。それだけに手をこまぬいていれば、ジリ貧になる。高架化などの再開発をいかし、沿線を「羽田空港の城下町」にすることを目指す。
 高架下を活用したビジネスでは、15年に京急蒲田駅(東京・大田)に飲食店・サービス店を集めた「ウィングキッチン」を開業し、19年4月には隣接する雑色駅(同)に保育園や医院などを集めた「雑色クリニックモール」を開いた。
 周辺には空港勤務者の入居を想定した賃貸住宅も展開する。「東日本大震災で関係者がすぐに空港に駆けつけられる必要性が再認識された」(まち創造事業部の一條英仁課長)。空港に近い大田区内の沿線を、空港関係者らのベッドタウンにするねらいだ。
 空港を利用する旅行客に対しては、移動手段だけでは終わらせない。空港からバスで20分の大田区内にある温泉施設「天然温泉平和島」を、3月にリニューアルした。スーツケースも入るロッカーを131個用意したのに加え、無料の公衆無線LAN(Wi−Fi)を完備したラウンジを新設した。24時間稼働の羽田に対応し、午後10時から午前7時前後までの時間帯に無料バスを運行し、早朝・深夜便の乗客の取り込みを狙う。


 三浦半島の観光ホテルが中心だった宿泊事業も、空港利用客の取り込みにシフトしている。ビジネスホテルの「EXイン」などを、沿線を中心に14店展開する。初出店は07年と後発組にもかかわらず、鉄道で空港と直結する利便性が評価された直近の稼働率は9割超えだ。「20年度に3000室まで増やす」(生活事業創造本部の野崎淳担当課長)計画を立てる。
 29年度のJR東の新線開業は不安材料だが、その前の27年には大きなチャンスが訪れる。リニア中央新幹線の開業だ。京急のターミナル駅である品川にリニア新駅ができ、京急を介してリニアと羽田を行き来する需要の創出が期待される。
 京急は同駅周辺で保有する約6万平方メートルの用地をいかし、大規模再開発も計画している。リニア開業は京急の大きな飛躍につながる可能性を秘める。川崎大師への参拝客を運ぶ鉄道が源流の京急は、三浦半島の観光ブームや住宅開発で乗客数を伸ばした。だが、沿線では高齢化で活力低下も懸念される。

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