不動産、一部に天井感 ─住宅は価格帯で濃淡─

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不動産、一部に天井感 ─住宅は価格帯で濃淡─

2018-06-15

市況はもう天井か──。

3月末に成立した東京・秋葉原にある10階建ての商業ビルの売却を巡り、不動産業界で衝撃が走った。取引額は145億円とみられる。売り主は日本株の短期売買だけで200億円以上の資産を築いた個人投資家Kさんだった。リーマン・ショック直後の08年に約90億円で買ったビルを相場の目利きが手放したとあって話題をさらったのだ。

 不動産の相場が過熱しているかは、賃料収入を物件価格で割った利回りではかれる。今年4月の日本不動産研究所の調査によれば、東京・丸の内近辺の一等地の期待利回りは3.5%だった。
 1999年の調査開始以来、最も低く、人気物件では3%を切る事例もあった。「ファンドバブル」と呼ばれた07年(3.8%)をも下回った。
 13年4月の異次元緩和で日銀が大量の国債を買い入れた結果、長期金利が低下。債券運用を主体とする年金基金や生命保険会社は利回りを確保するために代替投資先を求めねばならなくなり、不動産に大量のマネーが流れ込んだ。世界的なカネ余りでアジアの政府系ファンドの投資も相次ぎ、日本の不動産価格が一気に押し上げられた。
 だが大型のオフィスビルの供給が相次ぎ、賃料収入は伸び悩んでいる。東京・丸の内周辺の1坪あたりの賃料は4万円程度と07年の約6万円に遠く及ばない。好景気でも働く人の数が急激に増えるわけではない。

 マンションはといえば価格帯による濃淡が著しい。株高などを背景に富裕層の需要は強く、超高級物件は引く手あまただ。森ビルの調べでは13〜17年に2億円以上で分譲された物件は1100戸超で、うち18戸は10億円を超える。08〜12年と比べると3〜4倍で、東京・虎ノ門に20年に完成する予定の物件を、森ビルは同社の最高級と位置付け「10億ション」も用意するとの話もある。
 一方、中間所得層を対象にした物件には陰りが見え始めた。東京・豊洲など東京湾岸エリアで乱立したタワーマンションには空室が目立ち始め、一部では物件価格も下がりつつある。「魅力的な特徴の有無ではっきりと選別される」と東京カンテイの井出武氏は指摘する。
 2年前のマイナス金利の導入で苦しくなった金融機関は地主へのアパート融資に奔走した結果、16年度の貸家着工は前年度に比べ11%増と「アパートバブル」が全国で生まれた。相続税対策も拍車をかけ供給戸数は8年ぶりに40万台を超えた。

 「今なら月2000円安くできます」。6月、鹿児島県では借り手を巡り家賃の値引き合戦が激化していた。金融庁は人口が減る地方での過剰融資に目を光らせ始め、17年度の同県の貸家着工は一気に20%減に転じた。地方では新築なのに住民集めに苦労する。
 不動産市場は金融緩和を起点にしたカネ余りの影響を残しつつ、一部では需要と供給のバランスが崩れた場面もみせている。

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