ホテル席巻、都心急騰 郊外・地方へマネー移る

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ホテル席巻、都心急騰 郊外・地方へマネー移る

2017-03-29

 東京都豊島区のJR大塚駅前。JR東日本が昨年末開いた競争入札に約10社が殺到した。
 落札したのはアパホテルだ。落札額は推定50億円弱。
 「我々の際採算ラインの1.5倍」と、マンション会社の担当者はため息をつく。


 東京都心部の地価上昇に拍車をかけているのが、訪日客増加に伴う建設ラッシュが続くホテルだ。
 ホテル業者は昨年から入札に現れ始め、超高額で土地をさらっていくようになった。

 平等にチャンスが巡る競争入札の増加が、”新参者”のホテル業社には追い風になっている。
 株式市場でコーポレートガバナンス(企業統治)が重視される中、
上昇企業は遊休地などをなるべく高値で売却するため、相対ではなく競争入札を増やしているからだ。

 競争入札の割合は取引の9割を超え「安く仕入れられなくなった」と大手不動産トップはぼやく。
 ホテル業者による高値落札につられて、都心のマンション価格も急騰している。


 「もはや都心部に買える物件なんてない」

 上場不動産投資信託(REIT)運営会社トップは話す。
 今回の公示地価では港区の六本木交差点にある8階建てビルの土地が
1平方メートル約800万円。日銀の金融緩和前の13年から35%も高い。

 不動産投資サービスのCBREによると、都心オフィスの物件購入額に占める
毎年の賃貸収入を示す利回りは、この間1ポイント下がった。もうけは薄くなっている。
 投資マネーは都心の一級物件に見切りを付け、
割安な周縁部や老朽化した雑居ビルの改修などに活路を見いだし始めた。


 1月末、シンガポールの不動産最大手キャピタランドが、日本で510億円の買い物をした。
 両国国技館のはす向かいに建つ築12年の「国技館フロントビルディング」や
横浜市西区のビルなど4物件。利回りは約4%だ。賃料で投資額を取り戻すには25年かかる。

 優良物件の目安となる利回りは5%程度。築年数や立地からみても得な投資とはいえない。
 利回りが3%台の東京都心よりましというのが、買いに走った理由だ。


 割安物件へのシフトが、都心部の過熱にブレーキをかける一方で、
地方物件の底上げにもつながり、今回の緩やかな地下回復を生んでいる。

 ただ変調の兆しもある。
 不動産・ホテル業者の旺盛な投資を支えてきたのは、
日銀の金融緩和を背景にした金融機関の低利融資だ。

 16年には前年比15%増で過去最高の12兆円を不動産業界に融資した。
 だが三菱東京UFJ信託銀行が不動産ファンド運用会社に金融機関の融資姿勢を尋ねたところ、
直近2回の調査で「分からない」「やや悪化」との回答が増えた。
 1月調査では新規融資について、2割が「やや悪化」と答えた。

 景気の本格回復を見通せない中、不動産業界へのマネー供給の行方が、
地価の先行きを占うポイントの一つとなる。

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